即興型英語ディベートについて
即興型英語ディベート授業導入のすすめ

1 即興型英語ディベートの魅力

 英語教育の指導改善と高度化を図る取組として、即興型英語ディベートの授業導入は最も有効な手段のひとつだと考えています。本言語活動においては、学習した語彙・表現等の知識を用いて、読む・書く・聞く・話すの4技能を統合的に活用し、活動を繰り返すことで言語の運用能力を確実に高めることができます。また、身近な話題でありながら幅広い話題について論じることで、社会に対する関心を深め、さらにチームとして協働することによるコミュニケーション力の育成にも貢献するという大きなメリットがあります。

2 即興型英語ディベートが授業導入に適切である理由

 本言語活動は授業との親和性が極めて高く、次のような利点があります。

(1)授業1単位(50分)で完結できること。

(2)授業1単位のなかに、4技能の全てが織り込まれる4技能統合モデルであること。

(3)「主体的・対話的で深い学び」を促進するコミュニケーションゲームであること。

(4)「何を知っているか」にとどまらず、「英語を用いて何ができるか」の実践モデルであること。

(5)ゲーム的要素が生徒の意欲を高め、英語による活動を楽しめること。

3 ジャッジにおける教育的配慮の必要性

 即興型英語ディベートを授業に導入するにあたって最も大切なことは、生徒が初めて体験するその触れ合いの瞬間を大切にすることです。ほとんどまったく話せないで無言の状態でいる生徒や話そうとしても身振りだけで話せずいらだちを隠せない生徒、相手の言っている英語が十分に理解できない生徒など様々です。そのような場合であっても、ひとりひとりを適切にエンカレッジできるコメントスキルがジャッジにあるかどうかが、その後の活動の成否を握るといっても過言ではありません。勝敗の理由を論理的に説明できるだけでなく、建設的なコメントを添えることができるかどうかが重要です。

4 組織的指導体制の構築

 即興型英語ディベートを授業に導入するにあたっては、「チームとして導入できるか」が鍵となります。個人の技量で導入しても、年度が変わりクラスが変われば、またゼロからの指導となり、発展的、連続的な指導がなかなかできません。一方で、組織で取り組んでいれば、クラスが変わり、教員が入れ替わっても、継続した指導が可能になります。少なくとも学年単位の組織的指導体制を確立することで、教員相互が指導のノウハウを共有し、生徒のコミュニケーション能力の向上を期待することができます。

5 生徒交流会・大会への参加

 近年、各県単位・地区単位での交流会が盛んに行われるようになってきました。毎年12月に行われる全国高校生PDA高校生即興型英語ディベート全国大会をはじめ、文部科学省・外務省後援PDA高校生パーラメンタリーディベート世界交流大会も開催されています。上位大会への出場を目指して、各校是非取り組んでみてはいかがでしょうか?

 (文責 山本朝昭)