令和4年度もコロナ禍で海外農業研修の実施が難しい状況となりましたので、北海道への国内研修に切り替えました。前日と当日の朝から抗原検査を受け全員陰性を確認し、3泊4日の日程でみんな元気に研修に出発しました。
1日目、帯広市内学科別研修
〇 農産園芸学科研修(池田ワイン城)
池田町が行う町営のほ場で栽培したブドウでワイン造りを行っています。ブドウの品種の研究から栽培、ワインづくりの拘りや地域との連携など、生産から販売までの流れを学ぶことができました。学生は耐病性や耐凍性付与の育種法や仕立て方に興味があるようで熱心に質問を行っていました。お土産にワインを購入する学生もいました。
〇 野菜学科研修 (十勝の畑作体験)
畑ガイドの案内で、芽室町の坂東農場を訪問しました。家族経営で畑作を中心に55haを経営されており、トウモロコシの畑に入らせていただきながら説明を受けました。熊本とは違う広大な畑と大きな農業機械に学生も興味津々です。
〇 畜産学科研修 (牧場ガイドツアー)
十勝は国内生乳生産量の17%を占めています。一戸あたりの頭数もEU諸国の水準に匹敵する酪農家もあります。今回、研修した酪農家は、乳用牛飼育頭数270頭、飼料畑60ha。2台の搾乳ロボットや大型機械など、大規模な経営に驚いた様子で、興味を抱きながら見学する様子が見られ、飼料作物や飼料の内容等に関する質問を行っていました。
2日目、
〇 フードバレーとかち推進協議会
十勝では「食」と「農林漁業」を柱とした地域産業政策「フードバレーとかち」を推進されています。熊本県民にも認識しやすい比較対象物を提示しながら講義を進めていただき、十勝の特性・優位性や蓄積されてきた産業基盤を活用した産業振興に取り組みについて学びました。オール十勝産の食材で作ったパンもいただきました。
〇 十勝ガールズ農場
新規就農希望者のガールズが行っている農場です。代表がとてもエネルギッシュで様々な苦労をされていることから学生への強いメッセージを感じました。単一経営や複合化・多角化した際のメリットを考える良い機会となりました。
3日目、
〇 High Five Camps (外国人との交流、コミュニケーション力向上)
少しでも海外に行った雰囲気を味わうために、外国人と英語によるコミュニケーションを行うプログラムを体験しました。初め表情が硬かった学生もアイスブレーキングで盛り上がり緊張が解けたようでした。積極的に手を挙げて質問し、英語で話そうとする学生も見られました。トレジャーハンティングではグループに分かれて暗号を解くためのキーワードを探し、楽しく協力して探す姿勢が見られました。昼食のカレーも美味しそうに食べて、おかわりをしていました。
〇 農産園芸学科研修(株式会社JAKE)
花き、果樹コースの学生が研修を受けました。県内での栽培が珍しい周年生産型アルストロメリア、無人ヘリやドローンを使った畑作防除の実演、有機JASの採卵鶏の卵を使ったプリン、アイスクリーム製造販売についての説明、GAPを通して農業を次代に繋げるお手伝いをしていることや先進的な農業のあり方を学びました。
〇 野菜学科研修 (小西ファーム)
大規模水田経営と彩り野菜の取組を視察しました。栽培面積を拡大するとともに、水稲栽培を乾田直播に替えて省力化を図った輪作の取り組みを学びました。また、加工に取り組んでおられるジェノベーゼを試食させていただき、おいしくいただきました。
〇 畜産学科研修 (岩見沢農業高校)
大型の飼料収穫機、糞尿処理のためのガスプラント、乳牛舎等、充実した設備の見学後、校内の生乳プラントで製造している「岩農牛乳」を試飲しました。農大との共通点もあり、興味を持って学ぶことができました。「美味しい」と、おかわりをする学生もいました。
4日目、小樽自由散策
観光パンフレットを元に散策プランを作成させていたこともあり、各自、自分たちのプランに沿って、小樽運河、北一硝子、オルゴール館などを巡る街歩きや、ソフトクリームなどのスイーツを食べながら自由に散策を楽しんでいました。
引率者として
●海外研修の代替としての研修旅行でしたが、北海道ならではの農業経営や先進的な取り組みについて学ぶことができ、参加した学生達には大いに刺激になった研修でした。研修場所間の移動距離が長く疲れた学生もいたようですが、北海道の風景を写真に収めたり、観光スポットではしゃいだりと国内研修旅行を楽しんでいた学生が多く見受けられました。
●学生全員が、九州では見られない大規模な農業経営に驚き、多くの場面で積極的に質問しメモを取る姿が印象的でした。海外研修は実現できませんでしたが、言葉が通じ、自らの農業経営に取り入れられる可能性が高い北海道での研修は、有意義な研修となりました。●仲間とともに、日中は熱心に学び、バスで体力回復して夜は節度を守って楽しんだ3泊4日。無事に実施できて大きな問題もなく帰ってこられたことに安堵しています。●大きなトラブルや体調を崩す学生もなく、無事に研修を終えることができたことが何よりです。
熊本県教育情報システム
登録機関
管理責任者 後藤 雅彦
運用担当 梶原 哲